幻の希少魚 淡路島サクラマスのヒミツ

○淡路島サクラマスの特徴

(1)サクラマスは春の魚

桜の咲く季節に漁の最盛期を迎えるので、この名があり、ひな祭りに食べるなど、食文化上も重要な魚。山形県などではハレの日のごちそう(ちなみに山形県ではサクラマスが『県魚』とされている)。トラフグに続く春からハモの始まる夏までの間の新たな特産品が欲しい淡路島にピッタリ!

  • 天然のサクラマスは漁獲量がとても少なく「幻の魚」と言われている。→養殖自体も難しい。
  • 臆病な性格警戒心が強く、環境が少し変わっただけでもエサを食べなくなってしまうほど繊細な魚。
  • 水産庁の人は、サクラマスを増やしたいとのこと。(サクラマスが日本的な名前なので、輸出したい。また他のサーモン類と比ぺて格段にうまいから)
  • 舂が一番美味しい魚
  • 見た目(顔つき)が男前な魚
  • 元々は何の魚でしょうか ←「ヤマメ」(淡水魚)でした
  • ヤマメは川の中で生活していて、海に出てきたらサクラマスになります(銀化)

(2)サクラマスは美味しい

生で食べるとサーモン類の中でもトップクラスの味。天然ものは寄生虫の危険があるので水揚げしてすぐに冷凍するが、養殖のサクラマスは寄生虫がいないので生でも食べられる(ただ、すぐに冷凍しても旬の時期は脂があり、あまり味が落ちないとのこと)。身がしっとりとして脂が甘く、上品な味わい。切りつけて美しい。富山県の名物「ますのすし」の古くからの原料 。高鮮度&急速冷凍で美味しさをキープ!

  • 味はサーモン類(サケ・マス類) の中で『最も美味』と言われている
  • 上品な脂と濃厚な甘みが特徴(雑味が無い)
  • お薦めは刺身を「醤油をつけずに」まず食べてみてください。旨味が強い。
  • 上品な甘み、ねっとりとした甘味。
  • しっとりとして肉厚
  • 醤油をつけたらより甘味を感じる。
  • 口の中で溶けて旨味がジュワ―ッと出てくる。

3,4,5月と成長するにつれて、脂の乗り、味が少しずつ変化していく。
3月上旬のサクラマスは1kg以上であっさりめの上品な甘み。
しかし、5月以降には、2kg以上になってきて脂の乗りも、甘みも別格に違ってくる。
月ごとに味の違いを楽しむのもおもしろいです(^O^)

栄養のパワーも期待できるまさにスーパーフード

  • DHA:脳を活性化
  • EPA:血液をサラサうにする
  • アスタキサンチン(サケ・マス類に多く含まれる):抗酸化作用がある。紫外線によるシミ、シワの発生を予防してくれます。※強い紫外線は活性酸素が発生し、シミ、しわ、肌の老化に繋がってしまいます。

(3)福良湾 はサクラマスのふるさと

サケ・マス類は冷水性の魚で、サクラマスの飼育可能な水温は-1~20℃(適水温は6~14℃)。
福良湾は、鳴門海峡の影響で潮流があり水温が低いため、サクラマスは身が引き締まり、長い期間養殖でき、大きく美味しく育つ!(愛媛等なら水温18℃以下は5月上旬で終わるらしい。しかし、福良湾なら5月下旬までエサをあげられるのでより大きく育てられる)

※ただし、水温が20度以上になるような6月では海では養殖できないため、3~5月の期間限定の提供となります。(5月末でまだサクラマスがいれば、その分は海から上げて冷凍保存します)

  • 淡路島の最南端「福良湾」で養殖されている。
  • 福良湾は鳴門海峡に近く、干潮による潮の流れで海水が絶えす入れ替わるので、きれいな海水(酸素を多く含む)が運ばれおいしい魚が育ちます。
  • 最初は同じ生け貫で養殖するが、途中で「大きめのもの」と「小さめのもの」に選別し生簀を分けている。ずっと一緒にしておくと小さいサクラマスがエサを食べられずに死んでしまう。それを、ある時期がきたら1匹ずつ選別して生け簀を分けてあげることで全体の95%が出荷できるようになった。
  • 臆病でエサを食べにくい。そこで、イサザアミから取ったエキスをかけて海老の香り付けをしている。
  • 玉ねぎの皮を入れて、ポリフェノールがたっぷり含まれていて、抗酸化作用で料理しても身の色が変わりにくくなる。

◇平成30年度から淡路島全体で「淡路島サクラマス」を広めようと実行委員会を立ち上げました。
島内の参加店舗がそれぞれ独自にメニューを考え、多彩なメニューが開発されています。
サクラマスの甘みと旨味を引き立てる食材の合わせ方や、絶妙な食感が味わえる火の入れ方など、淡路島内のプロの料理人達がそれぞれの得意分野や経験を活かして腕を振るって多彩な創作料理に仕上げてお客様をお迎えします。

○なぜ、淡路島でサクラマスなのか?

2015年12月に淡路島サクラマスの養殖を開始。
淡路島では「夏は鱧」「冬は淡路島3年とらふぐ」があったが、「春はこれ!」という名物魚が無かった。
そこで、福良漁協の前田組合長が“春の名物”にしたいということで春にちなんだ魚「サクラマス」の養殖を始めた。

“淡路島に来る方を四季いつでも楽しませたい”

サクラマス

○ご当地サーモン「淡路島サクラマス」とは

「淡路島サクラマス」が生まれた福良湾の恵まれた海域環境に加え、誕生から常に養殖技法をアップデートし続けることで、天然物とひけをとらないほど上質なサクラマスに育て上げてきた。「ご当地サーモン」にはトラウトサーモン系種が多く、臆病で養殖が難しいサクラマスは希少だが、雑味のない上品な甘味・旨味は別格だ。生産者も増え、2019年には島内全域でサクラマスを味わえるようになり、淡路島を代表する春のブランド食材となった。2020年には「淡路島3年とらふぐ」とのコラボメニューが誕生。そして、2021年にはお店の個性を最大限に活かせるように「こだわりの逸品」がカテゴリーに追加。島食材と競演する多彩で個性的な春の創作料理が満喫できる。

サクラマスフィレ

○一般的な養殖サーモン類と淡路島サクラマスの違い

比較表
一般的なサーモン類淡路島サクラマス
①希少性
輸入もの:アトランティック(タイセイヨウサケ)、トラウトサーモン(ニジマス系)
国産もの:ギンザケ、トラウトサーモン
稀少(北陸から東北では天然サクラマスが漁獲され一般的であるが、近年は資源の減少から漁獲量が激減。関西では馴染みが薄い。養殖は稀少。)
②食味・味
十分な脂と旨み(輸入ものが一般で単一的)。ほどよい柔らかさ(サケ類の特長) 成長に従い色とともに食味が変化。(あっさりとした脂と旨みから、成長とともに脂がのり、旨みと上品な甘みが増す)。ほどよい柔らかさ。
③色(見た目)
サーモンピンク(輸入ものが一般で単一的) 成長に従い赤みの変化が楽しめる。(淡いピンクから強みのある美しい鮮紅色に変化)
④産地
他県生まれ自県育ちが主体(自県生まれ自県育ちはレア) 静岡生まれの淡路島育ち
⑤こだわり
ハーブ、レモンなど各産地で工夫 淡路島たまねぎの皮(ポリフェノール)で身色の変化の試験を実施

○養殖サーモン(サケ・マス)の種類

①アトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)

北アメリカやヨーロッパの北大西洋沿岸各地に広く分布。原産地では近年はその資源量が激減し、日本には養殖ものが鮮魚で輸入される。

②トラウトサーモン(ニジマス)

原産地はアラスカからメキシコ北西部にかけての北米大陸やカムチャッカ半島。19世紀にヨーロッパに移植。国内では最も多く養殖され、普通のものより成長が早く、大型になるドナルドソン系と呼ばれる改良品種が利用される。

③ギンザケ

北太平洋のほぼ全域に広く分布し、多くはオホーツク海、ベーリング海沿岸の河川に遡上。日本沿岸の遡上は少ない。

④サクラマス(ヤマメ)

日本でマスと呼ばれてきたものは本種であることが多い。黒い模様(パーマーク)があり河川で過ごすものはヤマメ、銀化して降海するものはサクラマスと呼ばれる。従来、瀬戸内海はサツキマス(アマゴ)と呼ばれる亜種が分布。

○サケ、マスとは?

かつて「サケ」は標準和名のサケ(シロザケ)、「マス」はサクラマスのこと。
混乱の始まりは、明治時代になり英語が入ってきたとき。英語では、淡水と海を行き来するものは「サーモン」、淡水だけで暮らすものは「トラウト」とするが、日本語に訳すとき前者をサケ、後者をマスとしてしまった。
その後、新たなサケの仲間が流通するようになると、これも混乱の原因に。北洋のベニザケもギンザケも、古くはベニマス、ギンマスと呼ばれていたが、いつの間にかベニザケ、キンザケに(標準和名に)。
さらに、海と川で呼び名が変わるものもあり(海での呼び名(川での呼び名))。サクラマス(ヤマメ)、ベニザケ(ヒメマス)、アメマス(イワナ)。

参考図書 「食材魚貝大図鑑1」(多紀保彦、武田正倫、近江卓ほか。平凡社)
「月刊養殖ビジネス2016年4月号、2017年5月号」(緑書房)
「すし図鑑」(藤原昌隆。マイナビ)
「からだにおいしい魚の便利帳」(藤原昌隆。高橋書店)

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